糟屋郡のケアマネが大ピンチ|第14回合同定例会で見えた地域包括ケアの限界とこれから

糟屋郡内のケアマネジャーが「大ピンチ」に直面しています

2025年12月17日に開催された第14回合同定例会(志免町民の生活支援を考える会 & 志免の保健室・事業者ネットワークしめ実行委員会)では、 「糟屋郡内のケアマネが大ピンチ」という、非常に重い問題提起がなされました。

  • ケアマネジャーの人手不足
  • ケアプランを作成するための社会資源の不足
  • 本来業務以外の負担(シャドウワーク)の増大

このままでは、制度があっても支援につなぐ人がいない、支援先が見つからないという事態が、現実のものになりかねません。

地域包括ケアは「専門職だけ」では成り立ちません

結論からお伝えすると、これからの地域包括ケアシステムは、医療・介護・福祉の専門職だけで支え続けることはできません。

制度や専門性はこれからも重要ですが、それだけでは、生活の細かな困りごとまで十分に対応することが難しくなっています。

そのため今後は、医療・介護・福祉に加えて、地域住民、事業者、ボランティアなど、多様な立場の人たちが関わる「地域全体での支え合い」が不可欠な段階に入っています。

制度があっても「人」と「資源」が足りていないからです

ケアマネの資格制度と現実のギャップ

一般社団法人kouji 理事長兼ケアマネジャーの松本祐輔氏からは、ケアマネジャーの資格制度と、現場で起きている現実との間にある大きなギャップについて説明がありました。

現在の現場では、

  • 資格を取得しても、業務の負担が大きく継続できない
  • 責任の重さに対して、支え合う仕組みが十分ではない
  • ケアプランを実行するための社会資源が地域に不足している

といった課題が重なっています。

その結果、制度としては整っていても、利用者一人ひとりの「日常の暮らし」までを十分に支えきれない状況が生まれていることが、改めて共有されました。

ユマニチュードの視点が示すもの

また松本氏からは、ユマニチュード(人間としての尊厳を大切にするケア)という考え方も紹介されました。

ユマニチュードは、支援を「作業」や「制度」として捉えるのではなく、一人の人として相手と向き合う姿勢を大切にするケアの考え方です。

これは、「支援する側」と「支援される側」という一方通行の関係を超え、人と人との関係性の中で支え合うことの重要性を示しています。

制度や専門職だけに頼るのではなく、地域の中で人がつながり合うことこそが、これからの生活支援に欠かせない視点であると再認識させられる内容でした。

現場から語られたリアルな課題

ケアマネのシャドウワーク問題

社会医療法人栄光会のケアマネジャーである 江藤晃 氏からは、ケアマネジャーが日常的に抱えている「シャドウワーク」について、具体的な説明がありました。

現場では、

  • 書類や記録には表れにくい調整業務
  • 利用者家族への対応や、関係機関との連絡・調整
  • 生活全般に関わる細かな相談への対応

といった業務が、日常的に発生しています。

これらはケアプラン上では見えにくいものの、実際には多くの時間と精神的エネルギーを要する重要な役割であり、ケアマネジャーの負担が増大する大きな要因となっています。

ケアプランだけでは支えきれない生活の現実

江藤氏は、「ケアプランは非常に重要だが、それだけで生活が成り立つわけではない」 という点も強調されました。

実際の暮らしの中では、

  • ゴミ出しができない
  • 買い物に行けない
  • ほんの少しの見守りや声かけが必要

といった、制度の枠外にある困りごとが数多く存在します。

こうした生活支援の“隙間”が放置されると、結果的に介護サービス全体の負担が増し、専門職だけでは支えきれない状況に陥ってしまいます。

そのため今、これらの隙間を地域の中で補い合う仕組みが、強く求められていることが、現場の声として共有されました。

生活支援は「地域全体の課題」です

今回の問題提起を通して明らかになったのは、介護や生活支援は、もはや一部の専門職だけで抱えられる課題ではないという事実です。

  • ケアマネジャーを地域全体で支えること
  • 制度の枠に収まりきらない困りごとを、地域で受け止めること
  • 人と人とのつながりを「地域の資源」として活かすこと

これらを意識した取り組みこそが、コンパッションタウン志免の実現に向けた重要な視点であると再確認されました。

今後も、合同定例会での対話を重ねながら、志免町の実情に合った地域包括ケアと生活支援のあり方を模索し、「誰もが安心して暮らし続けられるまち」を目指して取り組んでいきます。