2026年8月19日(水)、志免町民の生活支援を考える会(SSK)の第22回定例会を開催しました。
今回は、死生ラボ長でライフオーガナイザーの鶴崎佳世氏を講師に迎え、「グリーフケア」についてさらに学びました。
家庭でも職場でもない、安心して立ち止まり、自分の気持ちをそのまま置いておける場所を地域につくるには、何が必要なのでしょうか。
前回の第21回定例会では、大切な人を亡くした方への寄り添い方について学びました。今回はそこから一歩進み、「場所・時間・関係」という視点から、悲しみや大切な人への想いを安心して話せる場所を地域につくるにはどうしたらよいのかを考えました。

悲しみを安心して話せる場所は、地域にどれくらいあるでしょうか

大切な人を亡くした悲しみや、その人に会いたいという気持ちは、とても個人的なものです。
家族だから話せるとは限りませんし、友人や職場の人にも話しにくいことがあります。
時間がたつと、周囲からは普段どおりに生活しているように見えても、本人の中には悲しみや寂しさが残っていることもあります。
鶴崎氏の資料では、現代の地域社会では悲しみが「見えないもの」になっているという視点が示されました。
だからこそ、悲しみを急いで整理するのではなく、その気持ちをそのまま置いておける場所が地域に必要なのではないでしょうか。
地域に「安心して立ち止まれる場所」をつくることが大切です
今回の定例会を通して見えてきたのは、悲しみを解決する場所ではなく、安心して立ち止まれる場所を地域につくることが大切だということです。
その一つとして紹介されたのが、グリーフケアカフェです。
グリーフケアカフェは、誰かに答えを教えてもらう場所でも、悲しみを早く乗り越えるための場所でもありません。
- 話したいときには話す
- 話したくないときには無理に話さない
- ただ同じ場所で過ごす
- 大切な人のことを思い出す
そのような時間を安心して過ごせる場所を目指します。
悲しみには「安心してとどまれる余白」が必要だからです
私たちの日常生活では、仕事や家事など、常に次の予定があります。
何か問題があれば、早く解決することを求められることもあります。
しかし、悲しみは必ずしも短期間で整理できるものではありません。
鶴崎氏の資料では、日常社会では時間が前へ進むことを求められやすい一方で、グリーフケアカフェでは立ち止まることや過去に留まることも認められると整理されています。
悲しい気持ちを無理に変える必要はありません。
すぐに答えを見つける必要もありません。
その人自身のペースで過ごせる時間があること自体に意味があります。
グリーフケアカフェとは、どのような場所なのでしょうか

グリーフケアカフェで特に大切にされるのが、心理的安全性です。
「こんなことを話したら変に思われるのではないか」
「まだ悲しんでいると思われるのではないか」
そのような心配をせず、自分の気持ちをそのまま持ち込める場所を目指します。
悲しみだけでなく、怒り、寂しさ、故人への愛情、言葉にならない気持ちなど、さまざまな感情があっても構いません。
グリーフには一つの正解があるわけではありません。
だからこそ、アドバイスをすることよりも、その人の想いが否定されないことが大切になります。
大切なのは「場所・時間・関係」をつくることです

鶴崎氏からは、グリーフケアカフェを考えるうえで、場所づくり・時間づくり・関係づくりという3つの視点が紹介されました。
場所づくり|安心して過ごせる空間
まずは、落ち着いて過ごせる場所が必要です。
大きな施設である必要はありません。
家庭でも職場でもない場所だからこそ、普段は話しにくいことを話せる場合があります。
グリーフケアカフェは、地域の中のサードスペース(第三の居場所)としての役割も期待されています。
時間づくり|急がなくてもよい時間
「そろそろ元気になりましょう」と急かす場所ではありません。
- 立ち止まってもよい
- 何度同じ話をしてもよい
- 何も話さず過ごしてもよい
その人自身のペースを尊重する時間をつくります。
関係づくり|一緒に過ごせる関係
支援する人と支援される人という一方向の関係ではなく、同じ地域で暮らす人として一緒に時間を過ごします。
誰かの経験を聞くことで、「自分だけではなかったのだ」と感じられることもあります。
個人の悲しみが大切に扱われることで、新しいつながりが生まれる可能性があります。
参加者も「自分だったら」を考えました
今回の定例会では、参加者自身が考えるワークも行いました。
テーマは、
- 悲しみや大切な人に会いたい気持ちは、何をしたら分かち合えると思いますか?
- あなた自身が、どのような会なら参加してみたいと思いますか?
という2つです。
普段の生活では、こうした問いについて考える機会は多くありません。
しかし、自分のこととして考えることで、
「どのような関わり方なら、悲しみを分かち合えるだろう」
「自分なら、どのような雰囲気の会なら参加してみたいだろう」
と、グリーフケアカフェをより具体的に考える機会となりました。
参加者それぞれの立場から考えることで、安心して参加できる場には何が必要なのかを見つめる時間にもなりました。
一人ではなく、地域で育てる場所です
グリーフケアカフェを続けていくためには、一人だけが頑張る仕組みにしないことも大切です。
鶴崎氏の資料では、発起人だけでなく、共に場を進める人、医療・福祉の専門職、場所や環境を提供する人、地域とつなぐ人など、さまざまな人がそれぞれの役割を持ちながら支え合う仕組みが必要だと示されました。
- 話を聴ける人
- 場所を提供できる人
- 専門的な支援につなぐ人
- 活動を地域に知らせる人
それぞれができることを持ち寄ることで、続けられる場所になっていきます。
これは、SSKが目指している、専門職・地域住民・事業者がつながりながら地域の支え合いを広げていく考え方とも重なります。
グリーフケアから、ACPや終活支援へ
今回の定例会では、今後の死生ラボの取り組みについても紹介されました。
今後は、
- ACP(人生会議)
- 終活支援
- 急な入院や災害時にも役立つエンディングノートの普及
などにも取り組んでいく予定です。
死や悲しみについて話すことは、決して暗いことだけではありません。
大切な人との関係を振り返り、自分自身がこれからどのように生きたいのかを考える機会にもなります。
まとめ|まずは小さな「安心して話せる場所」から
今回の第22回SSK定例会では、グリーフケアについて学ぶだけでなく、実際に地域の中にどのような場所をつくることができるのかを考えました。
必要なのは、最初から大きな仕組みを完成させることではありません。
- 安心して話せる場所
- 急がなくてもよい時間
- 気持ちを否定されない関係
その小さな積み重ねから始めることができます。
そして、その場所を一人で支えるのではなく、地域住民、専門職、事業者などが、できることを持ち寄りながら育てていくことが大切です。
SSKではこれからも、地域の中にある困りごとや普段は見えにくい想いについて学び合いながら、住民同士が支え合える「コンパッションタウン志免」を目指して活動を続けていきます。
次回のSSK定例会について
次回のSSK定例会は、2026年9月16日(水)18:30~20:00を予定しています。
地域活動に関わっている方だけでなく、地域の支え合いに関心のある方も参加できます。
これからも、地域でできる支え合いを一緒に考えていきます。











この記事では、第22回SSK定例会の内容をもとに、次の3つの疑問について紹介します。