志免町民の生活支援を考える会
志免の保健室・事業者ネットワーク・しめ
(開催日:2026年2月18日/会場:医療介護施設かめやま)


住まいの課題は「建物」ではなく「つながり」の問題でした

第16回合同定例会では、「暮らし方ラボ・しめ」の現状報告と今後の方向性について意見交換を行いました。
議論を通して見えてきた結論は、次の一点に集約されます。
住まいの問題は、建物そのものの問題ではなく、 「誰と、どのようにつながりながら暮らすか」という関係性の問題です。
志免町でも高齢化が進む中、次のような課題が共有されました。
- 一人暮らしに対する不安
- 住み替えを希望しても実現しにくい現状
- 高齢を理由とした賃貸住宅の入居制限
- 孤独死等による事故物件リスクを懸念した貸し渋り
これらは単独の問題ではなく、制度・経済・心理・地域構造が絡み合った複合的な課題です。
一方で、議論の中では
- できるだけ住み慣れた地域で暮らしたい
- 気心の知れた人と支え合いたい
- 役割を持ちながら元気でいたい
といった声も多く共有されました。
つまり、課題がある一方で、「地域で支え合いたい」という意欲も確実に存在していることが確認できました。
今回の定例会は、住まいの問題を“ハード(建物)”の議論にとどめず、“ソフト(つながり・仕組み)”の視点へと広げる重要な一歩となりました。
なぜ今、暮らし方の再設計が必要なのか

今回の議論の背景には、社会構造と価値観の大きな変化があります。
主に、次のような点が共有されました。
- 80歳以上の世代と団塊世代以下では、暮らしに対する価値観が大きく異なること
- 子どもに頼らず、自立した生活を望む世代が増えていること
- 運転免許返納により移動手段への不安が現実的な問題になっていること
- マンションなど利便性の高い住環境でも、コミュニティが希薄になりやすいこと
特に印象的だったのは、「便利さ」と「安心」は必ずしも一致しないという点です。
定例会では、次のような具体的事例が共有されました。
- 志免町内で住み替え先が見つからず、やむを得ず町外へ転出した高齢者の事例
- 交通や買い物の利便性を求めて引っ越したものの、地域とのつながりがなく、再び志免町へ戻ってきたケース
- 多世代交流のあるケアハウスで生活し、役割と会話が増えたことで元気を取り戻した事例
これらの事例から見えてきたのは、
「便利な場所に住むこと」だけでは、安心して暮らせるとは限らない
という現実です。
人が安心して暮らし続けるためには、
- 日常的な声かけ
- 役割を持てる環境
- 困ったときに気づいてくれる人の存在
といった「つながり」が不可欠です。
そのため、今必要なのは単なる住宅供給ではなく、暮らし方そのものを地域全体で再設計していく視点であることが、今回の定例会で確認されました。
今回共有された主な取り組み

① 志免町桜丘での住まいアンケート
「人の終活」「家の終活」をテーマに開催した連続講座では、住まいと暮らし方に関するアンケートを実施しました。
その結果、世代によって求める暮らし方に違いがあることが明らかになりました。
- 80歳以上の世代は、子世帯との同居や家族との近居を希望する傾向
- 70代以下の世代は、「近くの他人」との多世代共生を望む傾向
同じ高齢世代でも価値観は一様ではありません。 この結果は、「高齢者向け住宅」という一括りの考え方では、地域の実情に十分応えられない可能性を示しています。
つまり、暮らし方は世代ごとに再設計していく必要があります。
② 町有地の活用構想
志免町内の町有地を活用し、多世代共生型住まいの可能性について検討が進められています。
現時点で議論されている主な方向性は次のとおりです。
- 多世代共生型住まいの構想づくり
- 建築専門学校とのコンペ形式による企画案募集
- ハード(建物)とソフト(つなぐ人)の両立
今回の議論では、単なる建物整備にとどまらない視点が共有されました。
- ゼロカーボンを意識した設計
- のるーと志免(AIオンデマンドバス:移動支援)との連携可能性
- 住民参加型の審査や企画プロセス
これらを組み合わせることで、行政主導ではなく、住民主体のプロジェクトへと発展する可能性があります。
重要なのは、「何を建てるか」ではなく、「どのような暮らしを支えるか」という視点です。
③ コーディネーターの必要性
議論の中で繰り返し強調されたのが、
建物よりも、人をつなぐ役割が重要である
という点です。
住まいを整備するだけでは、孤立は防げません。
- 甘やかすだけではない支援
- 住民が役割を持てる環境づくり
- 「社会との接続寿命」を延ばす仕組み
これらを実現するためには、専門性を持ったコーディネーターの存在が不可欠であることが共有されました。
住まいを「終の棲家」にするのではなく、社会とのつながりを保ちながら暮らし続けられる場にする。
その鍵を握るのが、つなぐ人の役割です。
対話を続けることが地域を前進させます

今回の合同定例会では、次の内容が整理されました。
- 暮らし方ラボ・しめの進捗共有
- 多世代共生の具体的事例の紹介
- 行政・教育機関との連携の可能性
- 事業者ネットワークの今後の展開
現時点で、すべてを解決する完成形があるわけではありません。
しかし、重要なのは結果の完璧さではなく、対話と検証を重ねる姿勢そのものです。
今回の定例会でも、
- 課題を正直に共有し
- 立場の違いを尊重しながら意見を交わし
- 具体的な次の行動を検討し
- 「誰が・いつまでに・何をするか」を確認する
というプロセスが丁寧に積み重ねられました。
地域づくりは、一度の会議で完結するものではありません。 小さな一歩を重ね続けることが、将来の大きな変化につながります。
住まいの問題も、移動の問題も、孤立の問題も、単独の団体や個人では解決できません。
だからこそ、
- 対話の場を継続すること
- 現場の声を可視化すること
- 実験的な取り組みを後押しすること
が重要になります。
このような取り組みは、地域の皆さまからの寄付や助成制度の活用によって支えられています。
支援があるからこそ、
- 挑戦できる
- 失敗から学べる
- 次の一歩を踏み出せる
という循環が生まれます。
今後も合同定例会を通じて、志免町で安心して暮らせる仕組みづくりを丁寧に進めてまいります。
対話を止めないこと。 それが、地域を前に進める最も確かな方法です。
今後の予定
次回の合同定例会は、
2026年3月18日(水)18:30~
を予定しています。
次回は、
- 介護予防の具体的な取り組み
- 地域内での支援ニーズと担い手をつなぐ「マッチングの仕組み」
- 実践事例の共有
を中心に議論する予定です。
引き続き、「誰と、どこで、どう暮らすか」という視点から、地域の現実に向き合っていきます。
最後に
地域の暮らしを守る取り組みは、一部の専門家や行政だけで進むものではありません。
- 寄付者の皆さまの継続的な支援
- 助成金申請団体の新しい挑戦
- 住民一人ひとりの参加と対話
その積み重ねが、「志免町で安心して暮らせる仕組み」を少しずつ形づくっていきます。
合同定例会は、課題を隠さず共有し、次の一歩を確認する場です。
今後も、その動きを丁寧にお伝えしてまいります。
本取り組みに関心をお持ちの方は、ぜひ次回定例会にもご参加ください。










